LNG不足から来る電気代高騰、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー市場攪乱で、電力小売り会社が数多く倒れた。過去に契約していた最安値の熊本電力は経営上の問題からダメになってしまったし、消費者としては悩ましい限り。いま契約しているサニックスでんきも、仕入れ値の高騰に耐えかねて従量B相当の「テラセーバーS」が廃止され、JEPXスポット市場価格連動型の「スポットバリュープラン」へ強制的に移行されてしまった。そのときにはほかの会社の従量B相当契約が同様に廃止されてしまっていたために、引っ越し先もないまま今に至る。
いろいろ忙しくもあり、引っ越し先を探すこともしてこなかったが、電気料金(JEPXスポット)も下がってきたので他にどんなところがあるのかと探してみることにする(東京60A, 単位: 円)。
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CDエナジー |
ミツウロコ |
東京ガス |
Pontaでんき |
エネクスライフ |
エルピオ |
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ベーシックB |
従量電灯B |
基本プラン |
プランM |
超TERASEL東京B |
使った分だけS(*) |
基本料金 |
1661.40 |
1771.44 |
1771.44 |
1771.44 |
1771.44 |
0.00 |
-120kWh |
29.90 |
32.11 |
29.90 |
29.99 |
30.00 |
33.40 |
120-300kWh |
35.59 |
33.33 |
35.41 |
36.59 |
34.46 |
33.40 |
300kWh- |
36.50 |
35.99 |
37.48 |
40.68 |
35.84 |
33.40 |
使用量別電気代 |
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300kWh |
11,656 |
11,624 |
11,733 |
11,956 |
11,574 |
11,670 |
400kWh |
15,306 |
15,223 |
15,481 |
16,024 |
15,158 |
15,560 |
500kWh |
18,956 |
18,822 |
19,229 |
20,092 |
18,742 |
19,450 |
すべて、燃調、再エネ賦課金(1.4円/kWh)は別。政府補助金、ガスとの併用(割引)や各種ポイント還元は考えない。
(*)別途、需給管理費5.5円/kWh
一見すると、エルピオ一択のように見えるが、需給管理費がかかるのでむしろ割高。使用量が300kWhだとしてもそれだけで1650円かかるので、他社の基本料金分と大差ない。電気料金表だけ見ると、Pontaが選択肢として消えるということはすぐにわかるものの、今ひとつはっきりしないので、300-500kWhまで簡易に計算してみる。(300kWh未満はわが家の使用量としてはあり得ないので考えない。エルピオは需給管理費込み。)300kWhの時点でエネクスライフが最安値で、また、それ以上の区間の単価も最安値なので、どこまで行っても最安値。
さてこの最安値が、今のわが家の市場連動契約と比べて高いのか安いのか。面倒なことにJEPXスポット連動価格なので30分単位で毎日の価格が異なり、簡単には比較できない。仕方がないので、料金支払い実績と使用量から平均単価(JEPXスポット+損失+需給調整費4.4円/kWh+託送料金7.48円/kWh込み、託送基本料金913.44円、再エネ賦課金、政府補助金なし)をはじき出す(単位: 円)。
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平均単価 |
JEPX相当課金単価 |
JEPX
0800-2200
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JEPX1600
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2023年12月 |
26.10 |
14.12 |
13.04 |
15.02 |
2023年11月 |
29.79 |
17.78 |
16.55 |
18.9 |
2023年10月 |
26.01 |
14.03 |
13.08 |
16.79 |
2023年9月 |
28.62 |
16.62 |
16.28 |
20.96 |
2023年8月 |
26.55 |
14.57 |
14.15 |
16.68 |
2023年7月 |
25.87 |
13.89 |
13.34 |
15.34 |
2023年6月 |
23.37 |
11.41 |
11.36 |
12.36 |
2023年5月 |
23.39 |
11.43 |
11.07 |
13.08 |
2023年4月 |
21.86 |
9.91 |
8.74 |
8.21 |
ざっと見たところ、20-30円/kWhというところなので、単価が決まっているプランの最安値エネクスライフと比べても、市場価格連動プランは基本的に単価で損をすることはナイ。おまけに市場価格連動プランには燃調がない。
とはいえ不安はある。市場価格が法外に上昇した場合には、固定単価プランの方が安くなる可能性がある。そこで、大体でいいので、30分ごとに変動するJEPXのどのあたりの価格を見ておけばいいのか、当たりを付けておこう。まず、平均単価からJEPXスポット価格以外の要因すべて(送電損失+需給調整費+託送料金)を剥ぎ取ったのが「JEPX相当課金単価」である。わが家の電力使用傾向から、昼間、とくに、帰宅時に多く使うことが予想されるので、JEPXの昼間(8:00-22:00)月平均と16:00の30分枠の月平均単価を見てみる。もちろん、完全に合致することはないのだが、そのあたりの時間帯が日内の最高値になることが多いこともあり、それとだいたい同じ単価を見込んでおけばいいことがわかる。
結論として、(1)JEPX市場価格連動プランのままでよいこと、(2)昼間平均と夕方のJEPXスポット価格を見ておけばいいことがわかった。もちろん、バックアッププランは必要で、法外に急騰した、あるいは、予想された場合には固定単価契約に移行することも考える。市場価格とにらめっこしたくないのであれば、ピーク期間である夏・冬だけあらかじめ移行しておいてピークが過ぎたらJEPX連動契約に戻ることだって考えられる。(ただし、短期間移行ペナルティのない契約が必要。)